非日常的な魅力を放つ作品や、日常にありふれたものの存在を問い直す作品などを見ることができ、独特な空気を放つ美術館。美術館での美術鑑賞にはそこでしか味わえない魅力が詰まっています。

今回は、名古屋市内にある美術館を6選ご紹介。2025年開催の展覧会情報やチケット情報なども多数紹介しています。どれもユニークで、きっとまだ見ぬ新しい美術の魅力に出会えるはずです。

目次

【伏見】名古屋市美術館

黒川紀章の建築が知られる名古屋の中心の美術館

「名古屋市美術館」は、名古屋のど真ん中、伏見の白川公園にある美術館。公園内には世界一大きいプラネタリウムで知られる名古屋市科学館もあります。

展示は収蔵品中心の「常設展」と、個人やあるテーマに着目した「特別展」。郷土ゆかりの作家から、モディリアーニなどエコール・ド・パリの作家、草間彌生など現代美術作家の作品まで、幅広く収蔵展示しています。

建物の設計は、名古屋市出身の名建築家・黒川紀章によるもの。随所に日本の伝統的手法と色彩が盛り込まれ、さらに名古屋城の石垣や木曽川の風景など、物語性のある記号も組み込まれています。

調査員O

ミュージアムショップではここでしか手に入らないオリジナルグッズや世界のアートグッズを購入できます!

特別展「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」


ジャン=ミッシェル・フォロン(1934~2005)はベルギーを代表するアーティストの1人で、柔らかな色彩で描き出される詩情豊かな世界が魅力です。アメリカの『ザ・ニューヨーカー』や『タイム』誌に掲載されたことをきっかけに世界的に人気を博しました。

今回の「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」はおよそ30年ぶりとなる日本での回顧展で、東京・名古屋・大阪を巡回します。ドローイング・水彩画・ポスター・彫刻・写真・オブジェ・アニメーションなど約230点の作品を通じて、彼が作品にうつした謎を読み解く空想旅行に出かけてみてはいかがでしょうか。

  • 開催期間:2025年1月11日(土)~3月23日(日)
  • 観覧料:一般1,800円、高大生1,000円 中学生以下無料

名古屋市美術館 基本情報

  • 住所:名古屋市中区栄二丁目17番25号(芸術と科学の杜・白川公園内)
  • アクセス:地下鉄東山線「伏見駅」より徒歩5分
  • 駐車場:周辺コインパーキングを利用
  • 電話:052-212-0001
  • 開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)毎週金曜日は~20:00まで(入場は19:30まで、祝日の場合は除く)
  • 休館日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、年末年始、臨時休館あり
  • 入場料:[常設展]一般300円、大・高生200円、中学生以下無料

【栄】愛知県美術館

近現代のさまざまなアートに出会う

こちらも名古屋のど真ん中、栄のオアシス21に隣接する美術館「愛知県美術館」。愛知芸術文化センターの施設10階にあり、近現代の日本画や洋画、彫刻、版画などさまざまな分野の作品に出会えるのが魅力です。

近代洋画の先駆者である高橋由一や黒田清輝など、明治期に注目された洋画から、ゴーギャンやピカソ、マティスといった世界の美術動向まで、ワクワクする美術の旅へ出かけてみてください。

企画展「パウル・クレー展-想像をめぐる星座」

2025年最初の展覧会は、20世紀に活躍し、シュルレアリスムや抽象表現主義などその後の芸術運動や現在のデザインシーンにも影響を与える画家「パウル・クレー」に焦点をあてた「パウル・クレー展-想像をめぐる星座」。

叙情性をもった、どこかナイーブな作風が人気のクレー。当展覧会では、人生の根源的な悲劇性と向き合いながら抽象のなかに生命のエネルギーを描き出した作品群を歴史歴な文脈に置くことで、彼の想像の軌跡をとらえなおします。

  • 開催期間:2025年1月18日(土)~ 3月16日(日)
  • 観覧料:一般1,800円、高・大生1,200円 中学生以下無料 
    【平日限定券】一般シングル1,300円、一般ペア2,400円

愛知県美術館 基本情報

  • 住所:名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター10階
  • アクセス:地下鉄名城線「栄駅」より徒歩3分
  • 駐車場:有料駐車場あり(アートパーク東海)
  • 電話:052-971-5511
  • 開館時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで) ※ 入館は閉館時間30分前まで
  • 休館日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、年末年始、臨時休館あり
  • 入場料:【企画展】展覧会により異なる【コレクション展】一般500円 高大生300円 中学生以下無料

【大曽根】徳川美術館

名古屋の歴史息づく尾張徳川家の名品を所蔵

大曽根にある「徳川美術館」は、実に名古屋らしいラインナップを楽しむことが可能。徳川家康公の遺品を中心に、尾張徳川家初代義直以下代々の大名道具を約1万件ほど収蔵。

そのほかにも「源氏物語絵巻」をはじめとした多数の国宝・重要文化財が良い保存状態で残されています。建物自体が国の有形文化財に登録されている美術館、ぜひ足を運んでみてください。

企画展「めでたきかなお正月」

徳川園では、2025年の新年を飾るお正月にフィーチャーした企画展が開催。「めでたきかなお正月」では、日本人が古くから行ってきた最も大切な年中行事であるお正月にどのような期待や祈りが込められてきたか、作品や資料をもとにひもときます。

新年を寿く、日本の伝統文化をぜひ楽しんでみて。

  • 開催期間:2025年1月4日(土)~1月26日(日)

徳川美術館 基本情報

  • 住所:名古屋市東区徳川町1017
  • アクセス:JR中央線「大曽根」駅南出口より徒歩10分
  • 駐車場:有料駐車場あり 普通車25分毎100円
  • 電話:052-935-6262
  • 開館時間:10:00~17:00 (入館は16:30まで)
  • 休館日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、年末年始、臨時休館あり
  • 入場料:一般1,400円、大・高生 700円、中学生以下 500円

【矢場町】松坂屋美術館

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名古屋PARCOやラシックなど、ショッピングに事欠かない矢場町。なかでも名鉄百貨店も閉館が決まり、名古屋では3つとなった百貨店のうちのひとつ「松坂屋」には美術館もあります。

松坂屋名古屋店の南館7階にある松坂屋美術館では収蔵品はなく、絵画・工芸からポップカルチャーまで、ユニークで質の高い企画展を常時開催しています。

調査員O

ショッピングのついでに立ち寄りやすい美術館。その時限定のオリジナルグッズが買えるミュージアムショップも魅力です。

展覧会「東叡山寛永寺根本中堂天井絵奉納記念 手塚雄二展 雲は龍に従う」

12月から開催される展覧会は「手塚雄二展 雲は龍に従う」。1953年神奈川に生まれ、東京藝術大学を卒業したのち39歳の若さで日本美術院同人に推挙されるなど、早くから画壇の中枢で活躍を続けてきた手塚の重要作品を展示します。

見どころは、2025年の奉納に先駆けて披露される6×12メートルの長大な寛永寺根本中堂の天井絵。数百年の時を経た天井版に直接描かれる絵は、旧材を活かした「古」と「今」をつなぐ試みです。手塚が描く、神聖かつエネルギッシュな2頭の龍をぜひご覧ください。

  • 開催期間:2024年12月7日(土)〜25日(水)※会期中無休
  • 開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで
  • 観覧料:【当日券】一般800円、高・大生600円 中学生以下無料

松坂屋美術館 基本情報

  • 住所:名古屋市中区栄3-16-1 松坂屋名古屋店 南館7階
  • アクセス:市営地下鉄「矢場町」駅直結
  • 駐車場:松坂屋駐車場を利用(5,000円以上買い物で1時間無料)
  • 電話:052-251-1111
  • 休館日:松坂屋休業日
  • 料金:企画展により異なる

【新栄町】ヤマザキマザック美術館

フランス美術史を一望できる美術館

新栄町にある「ヤマザキマザック美術館」では、ヤマザキマザック株式会社の創立者・山崎照幸が蒐集した18世紀~20世紀のフランス美術や、アール・ヌーヴォー期のガラスや家具などのコレクションが収蔵されています。

18世紀のロココ芸術から20世紀の印象派、エコール・ド・パリまでフランス美術300年の流れを一望できるコレクションは一見の価値ありです。

調査員O

音声ガイドによる解説サービスやレストラン・カフェなども充実。休日のおでかけやデートにもおすすめ◎

特別展「布施知子 ORIGAMI―紙の鼓動―」

開催中の展覧会は、世界的に有名な折り紙作家・布施知子の作品展「ORIGAMI ―紙の鼓動―」。紙を折ったパーツを組み合わせて立体作品を作る「ユニット折り紙」の第一人者として知られる布施氏。

今回の展覧会では上記の折り方に加え、「スパイラル折り」「無限折り」など多種多様な折り方によって無限の形と美しさを見せる折り紙の数々を展示。「折り紙」の固定観念を覆すような変幻自在の造形美をぜひ目の当たりにしてみてください。

  • 開催期間:2024年11月29日(金)~2025年3月23日(日)
  • 入館料:一般1300円、小中高生500円、小学生未満無料

ヤマザキマザック美術館 基本情報

  • 住所:名古屋市東区葵1-19-30
  • アクセス:地下鉄東山線「新栄町」駅1番出口直結
  • 駐車場:有料駐車場あり 30分200円
  • 電話番号:052-937-3737
  • 営業時間:10:00~17:30(入館は17:00まで) ※土日は17:00まで
  • 休館日:月曜日(祝日の場合はその翌平日)、年末年始、展示替期間
  • 料金:
    【所蔵作品展】一般1,000円、小中学生500円 小学生未満無料
    【企画展】企画展により異なる

【池下】古川美術館(分館 爲三郎記念館)

数寄屋建築とアートを一緒に楽しむ

池下にある「古川美術館」は、初代館長の故古川爲三郎が長年にわたって収集してきた美術品を私蔵するだけでなく多くの人に楽しんでもらいたい、という想いから開館した美術館。

所蔵品は近代日本画を中心とした油彩画・陶磁器・工芸品など約2800点。所蔵品の展示に伴う美術講演会やワークショップなども開催しています。

調査員O

邸内には数寄屋カフェがあり、爲三郎遺愛の品や美しい日本庭園を眺めながらお抹茶やコーヒー、季節の和菓子などをいただけます。ほっとひと息つくカフェ利用のみもおすすめです。

特別展「源氏五十四帖茶陶展ー陶と書の饗宴」

2025年1月から開催される新春特別展。紫式部が平安時代に執筆した日本屈指のベストセラー「源氏物語」のの世界を陶(焼きもの)で表現した「16代永楽善五郎」のにフィーチャーした企画です。

室町時代末期から幅広く茶陶を手掛けてきた永楽家。その16代永樂即全(1917~1998)が戦後に発表した大作「源氏物語五十四帖」において、源氏物語をどのように捉え表現したのか。名古屋では初公開となる圧巻の世界観を楽しんでみてください。

  • 開催期間:2025年1月7日(火)~2月9日(日)
  • 料金:
    【古川美術館・分館爲三郎記念館共通】一般1,500円、高大生500円、中学生以下無料
    【古川美術館単発】1,200円
    【爲三郎記念館単発】600円

古川美術館(分館 爲三郎記念館) 基本情報

  • 住所:名古屋市千種区池下町2-50
  • アクセス:地下鉄東山線「池下駅」1番出口より徒歩3分
  • 駐車場:無料駐車場あり 普通車10台
  • 電話:052-763-1991
  • 営業時間:10:00~17:00(最終入館16:30)
  • 休館日:月曜日(祝日の場合はその翌平日)、年末年始、展示替期間
  • 料金:
    【古川美術館・分館爲三郎記念館共通】一般1,000円~、高大生500円~、中学生以下無料
    【古川美術館単発】800円~
    【爲三郎記念館単発】500円~
    ※展覧会によって料金が変動します。