名古屋駅から徒歩圏内のところに、お散歩にぴったりな昔懐かしい香りがただようまちがあるのをご存じでしょうか。
かつて下町として栄えた名古屋市西区那古野(なごの)の中心にあり、どことなくレトロで懐かしい雰囲気を感じる円頓寺商店街。名古屋で最も古い商店街といわれている一方で、近年は個性的で新しいお店も続々とオープン。世代を超えて愛され続けています。
次々と高層ビルが立ち並び、都市化が進む名古屋駅のほど近くで変わらず昔ながらの趣を残す円頓寺エリア。今回は円頓寺商店街周辺で、人情味あふれるまち歩きをしてきました。
目次
古き良き商人町、那古野
名古屋市、那古野界隈の町並みは今から約400年前に形成されました。名古屋城の築城に伴う「清州越」で移り住んだ商人たちによって、活気あふれる城下町が作られたのです。今回ご紹介する円頓寺商店街をはじめ、歴史情緒あふれる街並みが残る四間道など多彩なお店が勢ぞろい。お散歩にぴったりなエリアです。
清州の面影を残す五条橋
名古屋市営地下鉄「丸の内」駅から北西に徒歩5分。堀川を隔てて、那古野地区の入り口となる場所に、名古屋の400年の歴史にかかわる「五条橋」があります。
今から400年前、徳川家康は名古屋城築城に際して、清州城下の町、都市機能をそのまま名古屋に移動させる「清州越」を行います。当時、清州の五条川にかかっていた木造がそのまま移されたのが、現在堀川にかかる五条橋だということです。現在の橋は1938年に架け替えられたものですが、当時の擬宝珠だけは現在も名古屋城に保存されています。
調査員O
橋げたからは、現在も運河として使われている堀川と、米穀や潮、味噌、酒、薪炭などを城下町へ供給する商家の連なりを眺められます。名古屋の物流と発展の基礎となった堀川と五条橋はぜひ見ておきたい名所ですね!
春と秋には、名古屋の築城も支え、後には水上交通として移動手段にもなった堀川のクルーズも実施されています。今秋は、おもてなし武将隊の乗船があったり、ナイトクルーズも行われるようです!いつもとは違う目線で街を眺めながら、歴史の流れを感じてみてはいかがでしょうか?
お散歩にぴったり!下町情緒感じる四間道の町並み
五条橋を渡り、円頓寺商店街の入り口を南に曲がると、古都を思わせる四間道の町並みが。
四間道は、元禄13(1700)年の大火を経て、防火目的から道幅を4間(約7m)に広げたことからその名がつきました。通りの東側には延焼を防ぐための機能を持たせた印象的な土蔵造りの建物が連なり、西側には町家が並びます。
名古屋が城下町であったことを感じられる趣のある町並みですが、古い建物を活かしたレストランやカフェ・スイーツショップなどがたくさんあります。建物の歴史を感じつつ、イマドキなグルメを楽しめるのも四間道エリアの特徴です。
緑あふれる浅間神社
成保4(1647)年に遷座したといわれる浅間神社は、地域の人々に愛される由緒ある神社です。商売人の町だったことから、お稲荷さんも併設されています。境内には名古屋市の保存樹でもある樹齢300年以上のクスノキが。火が燃え移りにくいことから火災の際の避難所にもなっているそうです。
至る所に祀られている「屋根神様」
四間道の路地を歩いていると、いくつかの町家の屋根に小さな祠が設けられています。これは「屋根神様」と呼ばれ、疫病や火災から身を守るために津島神社、秋葉神社、熱田神宮の祭神を祀る名古屋独自の風習だといいます。
調査員F
屋根神様は何軒かの屋根に設置されています。いくつ見つけられるか挑戦するのも楽しいですね。
名古屋市西区那古野へのアクセス
那古野・四間道エリアへは、桜通線「丸の内」駅から徒歩で5分ほど。名古屋駅から歩くこともできます。だいたい15分ぐらいなので、涼しい時期や過ごしやすい時期に、のんびり散歩でもしながら歩いてみてはいかがでしょうか。
レトロで新しい円頓寺商店街グルメをたべまわりレポート!
那古野のまちの中心に位置する円頓寺商店街。先述した清州越以降、大須などとともに古くから繁華街として栄えました。
一時はシャッター街となった過去もありますが、現在は様々な取り組みが行われ、活気を取り戻しつつあります。古くからの老舗店舗が下町の情緒を残しながらも、ユニークで新しい店舗が新しい風を吹き込んでいます。
調査員F
2015年にはアーケードが全面補修され、七夕まつりや秋のパリ祭などのイベントの開催も商店街の盛り上がりを後押し。ライフルホームズが行った調査によると、愛知県民が選ぶ好きな商店街ランキングで2位を獲得しているんですよ!
それでは、レトロで新しい商店街のグルメを探しに行ってみましょう!
名古屋最古の喫茶店「喫茶まつば」でモーニング
商店街に入るとすぐに見えてくる喫茶まつば。昭和8年に円頓寺商店街に創業した、現存する名古屋の喫茶店では最も古い歴史を誇ります。創業以来、こだわりの自家焙煎コーヒーを淹れ続けているそうです。
調査員O
実は、名古屋のご当地グルメ「小倉トースト」の発祥店「満つ葉」の暖簾分けの店でもあるんですよ!
店舗は、2018年に3代目のご主人が継いだのと同時にリニューアルされたもの。木を基調とし、オープンテラスを取り入れたゆったりくつろげるお店になっています。
モーニング 小倉トースト+ゆで卵(ドリンク代+0円)
発祥の店の遺伝子を受け継いでいるということで、注文したのは小倉トースト付きのモーニング。「名古屋モーニング」として県外の方にも知られている、ドリンク代のみでパンなどがついてくるお得なセットです。モーニングは8時から12時までと、遅めまでやっているのも嬉しいポイント。
さくふわのトーストにはしっとりとバターが溶かされており、ほどよい塩味と小倉の甘みのマリアージュがたまりません。そしてこれがまたこだわりのブレンドコーヒーとよく合うんです。
調査員O
地元の人たちが入れ替わり立ち替わりやってきては、モーニングを食べていたのが印象的でした。長く愛される地元の喫茶店なんだと実感しました。
元祖の血を引く小倉トーストのモーニングを食べながら、うっとりする午前を過ごせました。
情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。
自家製酵母パンのベーカリー「芒種」
2016年に犬山から円頓寺に移転し、街のパン屋として親しまれてきたベーカリー「芒種」。2021年には、戦後すぐからあるベビー用品店だった近くの建物を改装して移転オープンしました。
国産小麦と天然酵母といったこだわりの食材を使って焼き上げられた、素材の味をじっくり楽しめる自家製酵母パンが売られています。
残せるところは昭和初期のものをそのまま残している内装も素敵です。店主の方も穏やかで、ほっこりと温かみを感じました。
調査員O
古いから壊すのではなく、古いものを活かしたお店は新しさと古さが同居していました。円頓寺の「今」を体現したようなお店ですね😊
クランベリーカンパーニュ 450円
いただいたのは人気の「クランベリーカンパーニュ」(450円)。外はカリっと、中はもちっとしたハードパンで、クランベリーの酸味と小麦の甘みのマリアージュがたまりません。
販売は売り切れ次第終了だそうです。ぜひ、円頓寺商店街に来たら早い時間に立ち寄ってみてください。
Shop information
- 店名
- 芒種
- 住所
- 愛知県名古屋市西区那古野1-35-16 1階
- 最寄駅
- 「丸の内」駅より徒歩5分
- 営業時間
- 11:00~18:00 (売り切れ次第終了)
- 定休日
- 火曜日、水曜日
情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。
老舗生麩屋さんで新感覚和スイーツを「麩柳商店」
円頓寺商店街を五条橋の方に戻り、堀川の川沿いを北に少し上っていくと、黒基調でどっしりと構えた外観のお店が見えてきます。
麩柳商店(ふりゅうしょうてん)は、明治10年創業、老舗の生麩屋さん。130年間変わらない手作りで現在も生麩を作り続けています。もともと卸売販売をメインに行っていたそうですが、数年前から店舗販売を開始。
伝統を守りながらも常に新しい生麩の可能性にも挑戦しており、生麩を使ったこだわりの和スイーツが人気です。
生麩のみたらし 300円
手作りの生麩に、愛知県産の白たまりと、100%鹿児島産のきび糖を使った自家製たれを絡ませた人気メニュー。可愛いパッケージに入った生麩は、たっぷりとたれに浸かっています。ぷるぷるでもっちりとした生麩は独特の食感があり、醤油の風味がきいた上品な甘さのたれと相性ばっちり!
調査員F
生麩はグルテンにもち粉を加えて蒸したりゆでたりしたもの。普通の団子とは一味違うもちもち食感がクセになります~!
食べ歩きにも、お土産にもピッタリ!見た目も涼しげでかわいらしい、ひんやりとした新感覚スイーツをぜひ食べてみてください。
情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。
生まれ変わった老舗喫茶「喫茶、食堂、民宿。なごのや」
円頓寺商店街で80年以上も愛されてきた老舗喫茶「西アサヒ」が、2015年にカフェレストラン、ゲストハウスとして生まれ変わった「なごのや」。外国から来た人が滞在できる場所を作りたいという思いからリニューアルしました。
一度は前オーナーの体調不良で閉店しましたが、現在のオーナーの尽力によって復活しました。奥に伸びる店内はリノベーションされながらも、昔の面影を残しています。ここでランチをいただきましょう!
タマゴサンド 780円
なごのやに来たらこれ!という定番メニューは、ボリューム満点のタマゴサンド(780円)。もともと「西アサヒ」時代の名物メニューで、商店街の方とも試行錯誤を重ね復活したものだそう。
パンの厚みの何倍もあるふわっふわの口当たりの厚焼きたまご、からしマヨネーズ、キュウリの相性は抜群。こだわりのブレンドコーヒーと一緒に、ぜひいかがでしょうか。
Shop information
- 店名
- 喫茶、食堂、民宿。なごのや
- 住所
- 愛知県名古屋市西区那古野1-6-13
- 最寄駅
- 「丸の内」駅から徒歩6分
- 営業時間
- 11:30~22:00(L.O.21:30)
- 定休日
- 月曜日
情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。
幹線道路を挟んで円頓寺本町商店街へ
商店街は幹線道路を挟んで2つに分かれています。円頓寺商店街を楽しんだら、道路を渡って円頓寺本町商店街へGO!
商店街のシンボル、三英傑像
円頓寺の2つの商店街の入り口には、個人の方が寄贈した三英傑(織田信長、豊臣秀吉、徳川家康)の像が道路を挟んで建っています。金銀銅で鮮やかに彩られた像は商店街の撮影スポットとなっています。
調査員F
三英傑像は交差点の四隅に設置されています。残る一角には、なぜか黄門様こと水戸光圀像が😎
100円台のテイクアウトお好み焼き!?「名古屋甘太郎本舗」
円頓寺本町商店街を進むと、昔ながらの雰囲気を残す商店街で長い間地元の人に愛され続けてきたお好み屋さんが見えてきます。
もともと駄菓子屋として始まった「名古屋甘太郎本舗」は昭和の終わりごろからお好み焼きを作り始め、現在まで営業を続けています。お好み焼きを半分に折りたたみ、紙で包むスタイルは名古屋独自のもの。
1枚なんと100円台で買えてしまうリーズナブルさも含め、なんとも昔懐かしい温かみを感じます。
お好み焼き 肉・玉子入 180円
たっぷりの具材、たっぷりのタレが生地で包まれています。特製のタレがやみつきになります。
調査員F
小ぶりのサイズになっているため、おやつにもぴったり。子どもが100円玉を何枚か握りしめて買いに来る姿が目に浮かびますね。
手軽に買って歩きながら食べられるため、お好み焼き片手に商店街を練り歩いてみてはいかがでしょうか。
Shop information
- 店名
- 名古屋甘太郎本舗
- 住所
- 愛知県名古屋市西区那古野2-19-24
- 最寄駅
- 「国際センター」駅から徒歩7分
- 営業時間
- 10:00~19:00 ※売り切れ次第終了
- 定休日
- 無休(1月1日~1月3日、夏休みあり)
情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。
みんなから愛される商店街唯一のスーパー「丸一ストア」
名古屋駅と名古屋城に挟まれた那古野周辺の地域には、人口が多い割に食品スーパーが多くありません。
調査員F
広大な城、オフィス街、役所などが多いことも、スーパーが店を構えられない要因の1つですね・・
そんな那古野で昔から営業している唯一のスーパー、丸一ストアが円頓寺商店街の中にあります。平日のお昼過ぎにもかかわらず大勢の地元の方で賑わっていました。
1階が食料品売り場、2階が衣料品や雑貨売り場になっている店内。さすが愛知のローカルスーパー・・!といったところでしょうか、全国規模のスーパーでは見かけないような商品も売られています。
地域外ではあまりお目にかかれない、碧南市の特産である白醤油が販売されていました!
調査員F
醸造文化目覚めつつある調査員は、名古屋市内で白醤油が販売されていたことにテンションが上がり、勢いで白醤油と岡崎市の八丁味噌まで購入してしまいました😂
味わい深い円頓寺商店街を散策してみよう
いかがでしたでしょうか。今回は、円頓寺商店街のグルメを調査員2名が徹底レポートしてきました。
名駅から徒歩15分程度で着く、那古野・円頓寺エリア。今回は、失われつつある下町の人情や情緒を残しつつも、新しいものも受け入れながら大須とはまた違った味わいのあるまちへと成長しつつある円頓寺商店街。
調査員F
お店の人に勇気を出して話しかけてみたら、ただまち歩きするだけでは知ることができなかったことを聞けるかも?!深掘りしたくなる町、円頓寺にぜひ遊びに来てくださいね。
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