前回の特集コラムで、円頓寺商店街を十分に楽しんだたべまろ調査隊。
【名古屋】円頓寺商店街でグルメ満喫旅!古くて新しいまちを特集レポート
名古屋駅から徒歩圏内のところに、お散歩にぴったりな昔懐かしい香りがただようまちがあるのをご存じでしょうか。 かつて下町として栄えた名古屋市西区那古野(なごの)…
調査隊は、円頓寺商店街のすぐ近くに、全国最大規模の駄菓子問屋街があるという情報をキャッチ!童心が抑えられない調査員2名は、いそいそと商店街を離れ、国道200号線を北側に渡ります。
調査員F
子どものころ、友達と近所の駄菓子屋さんに通っていた思い出がよみがえります!
こぢんまりとしたエリアには、子どもの天国かと思えるようなお店が・・・!?
目次
人情あふれる駄菓子問屋街「明道町」
名古屋駅から北に4キロほど離れた場所、市営地下鉄「浅間町」駅から徒歩10分ほどに位置する明道町は、名古屋市西区の新道・幅下周辺地域の通称です。(明道道はかつて愛知県名古屋市西区にあった町名で、現在は明道町という正式な地名はありません)
明道町は全国最大規模の駄菓子問屋街として有名な地域。昭和初期には製造所数130以上の全国的な菓子問屋街になり、高度経済成長期には最も盛り上がりを見せました。
地名が変わってなお、バス停やジャンクション名にその名が残っていることからも、地元の人にとって馴染み深い場所だったことがわかります。
調査員F
関東大震災(1923年)の際、被災地の子供たちにお菓子を支給したこと、たくさんの職人が名古屋に流れてきたことなどが栄えた理由の1つだそうです!
ルーツは江戸時代!明道町の駄菓子問屋
昔ながらの駄菓子問屋が軒を連ねる明道町。もともとは江戸時代、名古屋城築城に従事した職人に向けてお菓子を売っていたことが駄菓子作りのルーツだといいます。
その後、下級武士が内職として旅人にお菓子を売り始めたことから、菓子作りの拠点としていっそう栄えました。
問屋街の発展に寄与した伝統的な「菓子撒き」
また、明道町で駄菓子問屋街が発展したのには、名古屋で受け継がれてきたある伝統的な風習も関わっているようです。
名古屋では花嫁が生家を出る際に、親族が家の2階から大量の駄菓子をまいてそれを近所の人が拾いに来るという「菓子撒き」が行われてきました。菓子撒きに使う菓子は「嫁菓子」と呼ばれますが、嫁菓子の調達に明道町の駄菓子問屋街がよく使われていたんですね。
調査員O
今回めぐったお菓子問屋さんの看板にも「嫁菓子」の文字を見つけることができます。文化の名残を感じます・・
現在では、生家で嫁入り支度をして婚家へ向かうというスタイルではなくなったため、自宅で菓子撒きをすることは減りましたが、結婚式上で演出のひとつとして菓子撒きを行うこともあるようです。
それでは、実際に明道町を散策してみましょう!
駄菓子屋さんにあったオモチャ問屋「川村商店」
駄菓子について語ってきましたが、一番最初に立ち寄ったのは駄菓子・・・ではなく、駄菓子屋さんで売っていたオモチャを販売している川村商店。店構え自体からは想像できませんが、一歩足を踏み入れると「懐かしい!」と叫びそうになる世界が広がっています。
台紙に貼り付けられた鼻メガネや、後ろの板状のものを押すとカチカチ音のするブリキのセミのオモチャなど、昭和世代には懐かしいオモチャが所狭しと並びます。子供の頃にワクワクしたものは、今見ても問答無用でテンションが上がるものです。
今は、お祭りやイベントの景品などでおもちゃを購入される方が多いそうです。
調査員O
白醤油でカバンを重くしている調査員Fがカエル風船ヨーヨーを購入したのですが、「これは目が光るんだよ」とスタッフの方がオモチャの説明をしてくださいました。気さくにお話してくださるので、気になるものがあったら聞いてみましょう!
Shop information
- 店名
- 川村商店
- 住所
- 愛知県 名古屋市西区幅下2-20-11
- 最寄駅
- 「国際センター」駅より徒歩5分
- 営業時間
- 9:00~18:00 (土曜日は17:00まで)
- 定休日
- 日曜日・祝日
情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。
昭和の趣をそのまま残す中央菓子卸市場
川村商店のすぐ北隣のようなところにあるのが、中央菓子卸市場。
外観のトタンが錆びてしまっており建物内も暗かったので、現在は営業していないのかと思いきや、入り口の1店舗がまだ営業されていました!一般の方でもお菓子を購入することができます。
奥へと続く細長い市場は昭和の空間をそのまま現代に持ってきたかのようで、本当にタイムスリップをしたかのようでした。
情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。
問屋街の守り神「隅田神社」
中央菓子卸市場の隣の細い路地には、ひっそりと小さな神社があります。こちらの隅田神社は、元禄時代の初めごろに熱病と火事が発生したことをきっかけに祀られたもの。それ以降は菓子問屋街の守り神として、街を見守り続けています。
今も掃き清められ、近隣の方から大切にされている場所だと感じられました。
ちょっと大人の駄菓子問屋「荒牧商店」
赤いテントと「大人の駄菓子」ののぼりが印象的な荒牧商店。お菓子屋さんやフルーツ屋さんで販売しているお菓子の詰め合わせの卸しをしており、ちょっと渋め(大人)な駄菓子を取り扱いはじめたそう。
おばあちゃんの家にあったような、オブラートに包まれたゼリー菓子や豆菓子、あられに落雁といった渋好みなラインナップ。ちょっと濃いめに淹れたお茶によく合いそうです。
「ここらは、今でも人情が残った場所。こうやっておせっかいみたいにお話ししちゃう」と朗らかに笑いながらいろいろと教えてくれるおかみさんたちからは、下町の温かい情緒がにじみます。
調査員O
かつては荒牧商店さんの周りにも数え切れないほどのお菓子問屋があったそうですが、今は数を減らしてしまったと、少し残念そうにおっしゃっていました。
ちなみに猫店長もいるそうですが、残念ながらこの日は隠れてお目にかかれませんでした。
ここでは、お菓子の詰め合わせにはだいたい入っていた「ビスくん」を購入。ほんのり塩味がクセになります。
調査員O
このビスくんも名古屋の会社(三ツ矢製菓)でつくられています。名古屋は駄菓子問屋だけでなく、クッピーラムネやチューインガムなど駄菓子製造メーカーも多いんです!
情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。
夢の大人買いが楽しめる「たつや」「桜井商店」
名古屋都心環状線と名古屋高速清須線が交わる、明道ジャンクションの足元のような場所にあるのが駄菓子問屋「たつや」「桜井商店」です。青いテントが「たつや」、緑のテントが「桜井商店」になります。
どちらもテントを広げた軒下に、ダンボールに山盛りになった駄菓子が。卸しになるので、夢の大人買いができちゃいます!9月に調査に伺ったので、ハロウィンパッケージのものが多く目につきました。ハロウィンで子どもたちにたくさんお菓子を配りたいときには、うってつけです。
両店ともに一般の方の購入も可能なので、夢の大人買いを楽しみにぜひ遊びに来てください。
調査員O
店内は天井まである棚にお菓子がいっぱい。目移りしてしまいます。あれも欲しい、これも欲しい、選べません😂
情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。
情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。
秘密基地のような景品問屋「杉山商店」
最後に伺ったのは、「たつや」「桜井商店」から少しだけ路地を進んだ先にある、「杉山商店」。
地域のイベントなどで使用する景品や商品を数多く取り揃えている玩具問屋です。玩具だけでなく、駄菓子も豊富に置いてあります。こちらも9月に訪れたからか、入り口にはかわいらしいハロウィンの装飾があり、中に入るのは少しドキドキする雰囲気があります。
店内は思っていたよりも広く、ジャングルのように陳列棚が続いていてワクワクが止まりません。エアガンや花火などもたくさん置いてあり、品ぞろえの多さにも驚きました。
調査員F
中学生のころの自分を連れて行ってあげたい・・!
皆さんも、ぜひ自分だけの宝さがしをしてみてください!子どもの頃の思い出の品がきっとみつかるはず。
情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。
夢あふれる駄菓子問屋街・明道道で思いっきり大人買いを
いかがでしたでしょうか。目を輝かせながら駄菓子問屋街・明道道を歩き回っていたべまろ調査隊は、気づけばこんなに駄菓子を買い込んでしまいました。
名古屋城の下町として発展し、今日まで変わらず昔ながらの駄菓子の商いをつづけ、地元の方たちに愛されてきた明道町。都市化する名古屋駅前で、いまだに昭和の香りを残す明道町。思わず童心に帰って「大人買い」してしまう明道町。その魅力は、お店の方たちの温かい下町情緒にあるのかもしれません。
たまには大人の皮を脱ぎ捨てて、レトロな駄菓子問屋街で思いっきりお菓子やオモチャを買ってみてはいかがでしょうか。